一般演題

一般演題1 (座長:八戸 茂美先生 山形県立新庄病院院長)

【9:00〜9:09】 髙橋 寛 先生 ー症例報告ー

所属:公立置賜総合病院新家庭医療専門研修プログラム

演題

当帰芍薬散が奏効したの線維筋痛症の一例

抄録

【背景】線維筋痛症は全身の慢性疼痛を中心としたさまざまな身体、神経・精神症状を伴うが、病態がわかっておらず治療に難渋することが多い。その一方で身体症状と精神症状療法にアプローチする必要があり、漢方治療が奏効するという報告も見られる。本症例では芍薬甘草湯が奏効した線維筋痛症を経験したため報告する。
【症例】53歳女性。高齢の両親と発達障害の息子と同居しており, 仕事や家事をほとんど行っており負担に感じている。仕事は製薬メーカーの営業。 X-1年11月より前胸部、背部の刺されるような痛みを自覚した。特に夜間に痛みが強く寝返りもできないためX年3月に当科へ紹介された。線維筋痛症疑いの診断でプレガバリン、デュロキセチン、非ステロイド性消炎鎮痛薬などを処方されたが、副作用が強いため継続できず、効果不十分のため治療に難渋していた。X年8月に発表者が外来主治医となった。今まで鎮痛薬、鎮痛補助薬では効果が不十分であったため、漢方薬を選択した。本人の証に合わせて当帰芍薬散7.5g/日の内服を開始した。合わせて、アロマセラピーなどの非薬物療法を指導した。徐々に夜間の痛みが軽減し、内服薬を減量することができ, X年11月には内服薬を中止することができた。
【考察】線維筋痛症の病態はよくわかっていないが、末梢循環不全による局所の筋肉の虚血が疼痛の原因になっているという仮説や、脳内神経炎症が関わっているという報告がされている。当帰芍薬散は毛細血管レベルでの血流量を増加させ末梢循環を増加させることや芍薬に含まれるpaeoniflorinが脳内のミクログリア炎症反応を抑制することが報告されており、これが線維筋痛症を改善させている可能性が考えられる。

【9:09〜9:18】 李 宇鐘 先生 ー症例報告ー

所属:置賜総合病院 総合診療科
共同発表者:高橋潤 置賜総合病院 総合診療科長

演題

「僕汗っかきなんです」ってそれ!アルコール離脱症状だよ!

抄録

はじめに(背景) アルコール依存症は慢性的に多量飲酒をする方であれば誰でも発症する可能性のある 疾患です。1 日平均男性で純アルコール換算で40g 以上、女性で20g 以上の飲酒をする方が約 1000 万人はいるといわれている。その中でアルコール依存症の診断基準に該当したことのある方は 100万人以上との報告も。一方で、この100万人のうちなんらかの理由で医療機関を近い過去に受診しているにも関わらず、アルコール依存症の治療を受けている患者数は約5万人程度とわずかである。つまりその多くが適切な治療に繋がっていないともいえる。今回内科入院となった方がアルコール離脱症状を起こしていたことに早めに気が付けたことで早期治療介入が可能となった。後日精神科へのスムーズな連携にも繋がった症例を経験したため症例報告させていただく。
 
(症例) 40代男性
(主訴) 抜歯後の止血困難
(家族歴)特になし
(既往歴)検診で肝機能異常を指摘されたが通院服薬等にはつながっていなかった。
(現病歴)20XX年 歯科医院で智歯抜歯後8日目に疼痛、腫脹が現れ3日間止血困難となり近位歯科を再受診。当院口腔外科に同日紹介となり即日入院。入院後の採血で著明な貧血を認めたため血液内科に精査目的で翌日転科。その後アルコール離脱症状が確認された。
(検査結果)WBC23600 RBC232万 Hb5.5 MCV80 PLT12万 AST73 ALT18  γ-GTP 631 PT(秒)16.1 APTT34.5 T-Bil 2.27 D-Bil 1.16 (身体所見) 中心性肥満 息切れ 眼球結膜黄染 冷や汗 振戦 落ち着きのなさ等

診断、結果
ICD-10 を用いてアルコール依存症と診断した。

考察
多様な疾患の背景にアルコール問題が隠れているケースは多く認められる。私はプライマリーケア医としてアルコール依存症は少し積極的に疑うことが大事であると感じた。

結語
アルコール依存症潜在患者は多い。プライマリケア医と専門医療機関が連携して治療することにより、軽症から重症のアルコール依存症患者が治療を受けることが可能となりえる。今後も丁寧な問診や身体観察によって心と体の健康を取り戻す患者さんが増えることを願いたい。

【9:18〜9:27】 遠藤 芽依 先生 ー研究ー

所属:福島県立医科大学医学部 地域・家庭医療学講座
共同発表者:
鋪野紀好 (千葉大学大学院医学研究院 地域医療教育学 千葉大学医学部附属病院 総合診療科 )
早坂史恵 (介護付き有料老人ホーム シャローム 生活支援課 生活相談員 )
葛西龍樹 (福島県立医科大学医学部 地域・家庭医療学講座)

演題

医学部における医療ソーシャルワーカーとの協同授業による教育効果測定:混合研究

抄録

●背景 医学生に対する多職種連携教育は近年重視されている。先行研究では医療社会福祉分野の学生が共にケーススタディーをして他職種の専門性への理解を促す取り組みはあるが、カリキュラムや感染対策、物理的な場所の確保などハードルが高い。また専門職が講師として連携した取り組みは少ない。そこで「多職種の講師によるケーススタディーの実施は、医学生が、持続可能なケアの実現のために地域包括ケアシステムの視点が重要であることを理解するのに寄与するか」を明らかにすることを目的に、混合研究法を用いた分析を実施した。

●方法 調査対象は福島県立医科大学医学部4年生とし、家庭医療専門医である報告者が医療ソーシャルワーカー(MSW)と協同で授業を実施した。授業ではMSWからの講義とケーススタディーを行った。また授業前後に、①「MSWの役割について概説できるか」②「地域包括ケアシステムについて概説できるか」③「患者の生活背景を把握することは重要と思うか」④「持続可能性を考慮したケアを行なうことは重要と思うか」の4項目に対し5段階リッカート尺度を用いたアンケートを実施し、対応のあるt検定を行った。また授業後に自由記載による調査を行い内容分析による質的解析を行った。

●結果 授業には120名が参加し、授業前後の回答が得られた111名を分析の対象とした。①は授業前1.83±1.1、授業後で4.23±0.6、②は授業前3.17±0.9、授業後で4.32±0.7、③は授業前4.85±0.4、授業後で4.92±0.2、④は授業前4.73±0.5、授業後で4.93±0.3 (いずれもp<0.05) であり、いずれも授業後は高く、特に①②では著明な改善が見られた。 自由記載項目に記載した医学生は69名だった。内容分析からは4つのテーマ(専門性と協働、学修方略、臨床技能、医療システム)、9つのカテゴリー、49のサブカテゴリーが抽出された。

●結論 医学生に対する多職種の講師によるケーススタディーの実施は、持続可能なケアの実現のために各専門職と協働する重要性や、個々の役割の理解、地域包括ケアシステムへの理解を促し、さらに医療面接や高齢者のケアの理解などの臨床技能を習得することに寄与した。

【9:27〜9:36】 山並 寛明 先生 ー活動報告ー

所属:只見町介護老人保健施設こぶし苑 施設医/只見町国民健康保険朝日診療所 常勤医
共同発表者:福島県立科大学 医学部 地域・家庭医療学講座 菅家 智史
只見町国民健康保険朝日診療所 若山 隆
只見町国民健康保険朝日診療所 森 冬人

演題

高齢者施設での新型コロナウイルス感染症クラスター発生の対応

抄録

【発表の目的】
クラスターという災害に遭遇した時に役立つ視点を共有する。

【事例の背景】
山間部にある診療所併設型の介護老人保健施設で、定員50人に対し約40人の入所者があった。2022年5月、施設医として新型コロナウイルスの集団感染(クラスター)発生から終息までを経験した。

【概要】
1人体制の夜勤看護師が勤務明けに新型コロナウイルス抗原検査陽性となった(Day 1)。保健所による全体のPCRスクリーニング検査で施設入所者に感染者が確認され(Day 4)、その後も全体のPCR検査が週2回の頻度で行われた。地域の感染専門医療職による訪問指導が間欠的にあった(Day5~)。保健所主導の感染制御策を確立(Day 8)した翌日から10日後(Day 18)以降、新たな陽性者は出現しなかった。最初の感染者判明から終息宣言(Day 28)まで4週間を要し、13人の入所者が感染した。最初に陽性となった職員を除いて施設職員には感染者を生じなかった。

【諸問題と解決策】
〇極初期(感染拡大の規模判明まで) マニュアルに沿って初日から対応したが、感染対策は何が正しいのか、大小様々な悩みを生じた。保健所に連携し、専門職派遣が始まってからは細かい所まで相談して解決した。
〇初期~中期(感染制御策の確立まで) 物品不足には近隣施設からの借用が助けとなった。日々変わる対応の情報伝達に1日1回ミーティングを行った。災害時と同じ観点を要した。
〇後期(終息宣言まで) 見通しの共有に感染日数表と居室マップを活用した。

【考察】
クラスター発生時には感染制御以外にも様々な問題を生じるが、それらにまで言及した報告や論文は思いのほか少ない。介護施設でのマニュアル策定にあたっては厚生労働省の公表する業務継続ガイドライン等が参考になるが、クラスター未経験の施設でそれを活かすためには、災害訓練のような形でその施設特有の問題を職員が認識し、解決法を模擬的に話し合う経験が必要と考える。

【9:36〜9:45】 和田 怜也 先生 ー症例報告ー

所属:ファーコス薬局 あすなろ

演題

来局者との面接で導いた水疱性類天疱瘡の症例報告

抄録

【目的】
高齢者でも高い忍容性を示すことから高齢糖尿病患者に汎用されているDPP—4阻害薬だが、その反面、重大な副作用である水疱性類天疱瘡の発症報告が散見されている。今回、来局者との十分な面接から情報を適切に収集し、その症状の特徴を患者から得られる情報(LQQTSFA)別に整理したことでDPP—4阻害薬による水疱性類天疱瘡の早期発見と受診勧奨に繋げられた症例を報告する。

【症例】
80代男性。要介護2。狭心症、2型糖尿病、糖尿病性腎症、脂質異常症、皮脂欠乏性皮膚炎、紅皮症あり。内科病院と皮膚科医院で治療中。 20XX年5月、内科受診後の来局時、患者家族より血液検査結果に不安があるとの申し出あり(HbA1c:8.6%、EO%:33.2%、リナグリプチン服用中)、自覚症状に対して医療面接手段の「LQQTSFA」の順で質問し、以下の情報を得た。

【結果】
L:背、腹部 Q:腹部はやや紅斑、背はガサガサ感、ややびらんあり Q :引っ掻きたくなるほど T:2週間前から悪化  S:常に F:常になので特になし A:背部のひどい掻痒感、痛みや熱はなし。 検査値、服用薬、LQQTSFAの結果より、リナグリプチン錠による水疱性類天疱瘡の可能性を考え、現在患者が定期的に受診している皮膚科に受診勧奨した。
Day2、皮膚科医院にてDPP—4阻害薬による水疱性類天疱瘡の診断あり。その後、内科病院にてリナグリプチン錠からセマグルチド錠へ処方変更。
Day7、電話にて症状改善傾向あり。Day28、搔痒感消失。

【考察】
処方箋調剤と服薬指導に加え、心身の異常や症状を訴える来局者に十分な面接を適切な順序と方法で行うことで副作用の早期発見や受診勧奨など妥当な判断が可能になる。今回実施した「LQQTSFA」の手法はこれらに対応出来得るものであった。さらに本症例はリナグリプチン服用2年後の水疱性類天疱瘡発症例であり、DPP-4阻害薬服用中の定期的なフォローアップの重要性も再認識できた。また薬剤師として臨床判断を行う上で皮膚疾患であれば部位の性状や症状の程度など詳細な情報を聞き出す必要があり、来局者との信頼関係も非常に重要である。本症例においてかかりつけ薬剤師であったことも多くの情報を引き出せた要因であったと考える。

【9:45〜9:54】 持丸 愛弥伽 先生 ー症例報告ー

所属:保原中央クリニック 家庭医療科
共同発表者:菅藤 賢治、佐々木 充子、川井 巧・大原綜合病院 総合診療科

演題

診断がつかない患者に対し、患者中心の医療を実践することで診療を継続することができた一例

抄録

【背景】
診断がつかない患者に対して、患者家族の感情を受け止め、不確実な状況を患者家族と共有しながら診療を継続することができた。未分化な健康問題へ対し、患者中心の医療の実践が診療を継続するための糸口となった症例を経験したため報告する。

【症例】
患者は統合失調症が既往にある73歳の女性で、グループホームへ入居していた。3か月間持続する夜間の発熱を主訴に当院へ紹介された。各種検査で異常なく、薬剤熱を疑ったが薬剤の変更は困難だった。キーパーソンの長男は報告者へ非難的な態度を示したが、報告者は患者の背景を理解することで、患者家族の感情を抵抗なく理解し、誠実な態度を続けることができた。症例の不確実性を考慮し、診療の過程の開示を積極的に行うように心がけた。診療の回数を重ねることに、長男の態度は軟化した。熱そのものの調整を目標として、掛物の調整や解熱薬の使用などの対応を相談し、徐々に発熱の頻度は減少した。その後も股関節痛や嘔吐、食欲低下などの症状が見られたが、その都度可能な診療の手の内を明かし、患者や家族の希望と診療の目標をすり合わせることができた。それぞれの症状について明確な診断に至ることはできなかったが、診療を続けることで、結果的に患者の症状改善へ繋げることができた。

【考察】
研修開始当初の自分であれば、家族に対して陰性感情を抱き、誠意を持った診療を続けられなかったかもしれない。研修の経験や指導医からのフィードバックを通じて、患者背景の理解や診療の不確実性を共有する習慣が身についていた。これらの習慣を実行したため、患者のコンテクストの理解や共通の理解基盤の形成といった患者中心の医療を実践することができ、良好なコミュニケーションを保持することで診療の継続性を保つことができた。 不確実性を症例に見出すと、不安に陥ることが多い。そんなときにこそ基本に立ち返り、患者中心の医療を実践することが、不確実性に立ち向かう基盤となることを学んだ。

【9:54〜10:03】 木村 謙太 先生 ー症例報告ー

所属:公立置賜総合病院 総合診療科

演題

多愁訴を有し医療に対して不信感・悲観的な態度を示す患者に対しNBM(Narrative Based Medicine)を意識した診療で良好な医師患者関係を築き、症状も軽快を得られた一例

抄録

【背景】
1998年にGreenhalghとHurwitzにより提唱されたNBMは「病という物語を認識し、吸収し、解釈し、それに心動かされて行動する能力」である物語能力を用いて実践される、より人文主義的かつ臨床主義的な概念である。臨床現場において時に非論理的に感じられる患者の訴えや受診態度に直面するプライマリケア医にとって、NBMは良好な医師患者の構築やアドヒアランス向上に有用と考え本症例を通して具体的な実践方法を考察する。

【症例】
38歳女性、主訴は2年前からの頚部違和感、めまい、ふらつき、ほてり、倦怠感、動悸、気分の浮き沈み、不眠、嘔気、頭痛、耳鳴などさまざまで発症形式や増悪緩解因子もバラバラだった。今まで多くの病院受診し鬱病・適応障害・GERD等の診断で加療も症状軽快せず仕事も休職していた。初回外来では身体診察・採血・画像検査で異常は指摘できず漢方処方となるも、不安・不信感を表す言動がみられた。2回目の外来ではNBM実践法であるナラティブ・アプローチ(①物語としての病,②主体としての患者,③多元性の容認,④線形因果論の非重視,⑤治療としての対話)を意識して診療し、患者から荒廃した幼少期や5人の子供の育児ストレスがあるなど背景聴取できた。それ以降の外来でも生活上の苦労や不安を傾聴し母親としての責務を果たしていることに肯定的な対話をすることで、当医に対する信頼を示す言動得られ定期受診につなげることができた。多愁訴も徐々に緩和され趣味の家庭菜園や飲食業の再開ができるまでになった。

【考察】
NBMによるアプローチとして患者のこれまでの人生を連続的な物語として認識し傾聴・対話することによって徐々に症状緩和を得られた。また医療に対する不信感からのドクターショッピングを回避でき、良好な医師患者関係を結べつつあると考える。

【結語】
プライマリケアの現場でしばしば遭遇する多愁訴の患者に対してEBMを用いての診断・加療に並行し、NBMによるアプローチを行うことは信頼関係構築に加え症状緩和の観点からも有用である。

【10:03〜10:12】 北村 俊晴 先生 ー研究ー

所属:1 秋田大学大学院医学系研究科 救急・集中治療医学講座
2 秋田大学医学部附属病院総合診療医センター
共同発表者:入江 康仁¹,², 平澤 暢史¹,², 亀山 孔明¹, 佐藤 佳澄¹, 鈴木 悠也¹, 奈良 佑¹, 前野 恭平¹, 吉田 健二¹, 奥山 学¹, 中永 士師明¹.  1 秋田大学大学院医学系研究科 救急・集中治療医学講座, 2 秋田大学医学部附属病院総合診療医センター

演題

治打撲一方の安全性に関する検討

抄録

【背景】
治打撲一方は本邦で考案された漢方薬で打撲、捻挫に用いられる。しかし、漢方の処方による有害事象の発生率が明確となる使用成績調査等が実施されておらず、有害事象の発現頻度は不明である。

【目的】
治打撲一方の安全性について、自験例に対して後方視的に分析を行い、その傾向と対策を確認する。

【研究デザイン】
観察研究

【対象セッティング】
研究対象期間:2008年9月1日~2021年5月31日。対象者:治打撲一方を処方された患者を対象とした。診療録の中から対象の患者基本情報として年齢、性別、診療録に記載された有害事象、治打撲一方の投与期間、有害事象への対処方法をデータとして抽出した。

【結果と考察】
治打撲一方を処方された患者は1104名で年齢の中央値は62歳、男性460名、女性644名であった。1104例中14名に有害事象を認めた。有害事象として下痢(5名)、嘔気・嘔吐(4名)、低カリウム血症(2名)、頭痛(1名)、腹痛(1名)、食欲低下(1名)、脱力感(1名)、発疹(1名)を認めた。有害事象の発生率は1.3%であった。最も多く認められた有害事象は下痢で発生率は0.6%であった。大黄の作用によるものと推測された。すべての有害事象は中止するか食後の内服に変更することで改善した。有害事象が認められたグループでは年齢の中央値は64歳で男性6名、女性6名、投与期間の中央値は4日であった。有害事象が認められなかったグループでは年齢の中央値は62歳で男性454名、女性636名、投与期間の中央値は7日間であった。有害事象が認められたグループでは有害事象が比較的早期に生じたため内服を中止した可能性がある。治打撲一方は挫傷や捻挫に使用するため投与期間が短くなりそのため有害事象が少なかった可能性がある。

【結論】
治打撲一方処方後に生じた有害事象の発生率は1.3%であった。治打撲一方による重大な有害事象は認めなかった。

【10:12〜10:21】北條 伸子 先生 ー症例報告ー

所属:登米市立豊里病院内科
共同発表者:久保睦夫・登米市立豊里病院整形外科

演題

骨溶解にて発症し診断に苦慮した濾胞性リンパ腫の1例

抄録

症例は45歳時に肺結核罹患し、現在は他院でB型肝炎内服治療中の喫煙歴ある66歳男性。本年8月初めに右胸痛にて当院整形外科受診。CTにて肋骨の複数部位に骨融解と嚢胞形成を認めたため当院内科に紹介。血液検査は特に所見なく単純CTでは骨溶解のほかリンパ節腫大散見され、転移性腫瘍疑って造影CT施行するも肺門部、左鎖骨上、および胃前庭部近傍のリンパ節腫大と脾臓に多数の結節あるほかは原発巣は見当たらず、主な腫瘍マーカーもすべて陰性であった。そこで肺外結核、リンパ腫、サルコイドーシスなども疑い血液検査するも結論が出ず、左鎖骨上リンパ腫、骨嚢胞、脾結節から針生検を行ったところ、脾結節の検体からfollicular Lymphoma Grade 3Aの診断であった。1998年に仙台市立病院においてやはり胸痛で来院し、骨溶解象以外に画像所見なく、骨生検によって骨原発性DLBCLと診断された症例があるが、今回はリンパ節腫大を伴っていて鑑別に時間がかかった。

【10:21〜10:30】鈴木 李理 先生 ー症例報告ー

所属:北茨城市民病院附属家庭医療センター
共同発表者:梶川奈月(北茨城市民病院附属家庭医療センター, 筑波大学医学医療系地域総合診療医学)
真下翔太(北茨城市民病院)
吉本尚(北茨城市民病院附属家庭医療センター, 筑波大学医学医療系地域総合診療医学, 健幸ライフスタイル開発研究センター)
横谷省治(北茨城市民病院附属家庭医療センター, 筑波大学医学医療系地域総合診療医学)

演題

嚥下障害と咳嗽をきたし食道肺瘻と診断した食道癌放射線治療後の一例

抄録

【症例】
79歳男性. X-3年胃癌術後. X-1年5月経過観察中に発見された胸部中下部の進行食道癌に対して根治的放射線治療が行われ, X年3月緩和治療目的に当診療所を紹介受診した. X年2月より唾液や喀痰の増加があり, 固形物・液体ともにむせこみがみられていた. 3月末より嚥下障害が悪化し, 食道狭窄を疑い当診療所の関連病院へ紹介した. 血液検査で白血球 13,600 /μl, CRP 17.96 mg/dlと上昇があり, 胸部単純CTで下部食道の壁肥厚とそれに接して左肺下葉背側に内部空洞と液体貯留を伴った浸潤影を認め, 食道肺瘻および肺膿瘍が疑われた. 上部消化管内視鏡検査では, 切歯から27-34cmに潰瘍浸潤型の進行食道癌がみられた. 同部位の狭窄はなく, 切歯から31cm左側に瘻孔を形成していた. 入院後, 肺膿瘍に対してアンピシリン・スルバクタムによる治療が行われた. 患者は侵襲的な治療を希望せず, 入院9日目に自宅へ退院し, 当診療所の訪問診療を導入した. 退院後は本人の希望により抗菌薬を含め点滴を終了したが, 経口摂取困難であり, 倦怠感が悪化したため退院2日後より点滴補液を再開, セフトリアキソン投与を行った. 徐々に状態が低下し, 退院から29日後に永眠した.

【考察】
本症例では, 当初食道狭窄を疑ったが, 進行食道癌患者の嚥下障害や咳嗽においては, 食道気道瘻も鑑別に挙げる必要がある. 治療として食道ステントが有効な場合があるが, 本症例では食道狭窄を伴わず適応とならなかった. 食道気道瘻が予後不良な疾患であることを念頭に, 訪問診療開始時から患者家族へ予想される経過を伝えることで, 療養先に関する意思決定支援に役立てることができたと考える.

【10:30〜10:39】原 純一 先生 ー症例報告ー

所属:きらり健康生活協同組合 上松川診療所 歯科口腔外科
共同発表者:吉野ひろみ きらり健康生活協同組合 上松川診療所 歯科口腔外科

演題

プライマリケア医療者は知ってほしい嚥下障害による微熱の薬物以外の対応としての完全側臥位と栄養管理

抄録

はじめに 
当科は嚥下障害治療を専門とした歯科口腔外科で嚥下障害対応が必要と思われる患者さんを主治医より紹介にて診察し改善策と問題解決を実施している. 在宅のサービスが乏しい環境下では嚥下障害で微熱が続く場合の対応は投薬や経口摂取を控えたり摂取量減少によるターミナルとなっていくケースが多い.今回完全側臥位の導入と経口摂取方法と栄養管理指導により微熱が改善したので報告する.

症例)
71歳女性
アルツハイマー型認知症末期
要介護5
気切なし
唸り声のみコミュニケーション困難
全介助
無歯顎で義歯なし
旦那さんによる家族介護を実施中だが,尿路感染の微熱は薬剤投与で治ったが、経口摂取量の減少著しく脱水低栄養誤嚥で微熱が引かないためなかなかレスパイト目的でのショートステイを利用できずいたため主治医は嚥下障害を疑い紹介にて当科で訪問診察した.そこでまず姿勢がリクライニングかけられ誤嚥し排出できない姿勢であった姿勢であることを伝え,同時に家族ならびに担当ケアマネと利用したい施設看護介護スタッフへ誤嚥しない食事姿勢と栄養管理を指導した.体重は介入して3カ月で47,5kgから51kgまで改善,微熱も出なくなり,家族レスパイト目的としたショートステイを毎週末2泊3日で利用できるようになった.さらに,食事内容もエンシュアHを主食としバランスの取れた栄養改善が手軽にできさらに完全側臥位で嚥下反射惹起遅延と喉頭知覚低下による不顕性誤嚥防止と舌機能不全による送り込み障害に対しシリンジ介助を身につけることで介護負担の軽減ができ介助者が自分の時間を取れるようになりご本人の栄養改善もでき表情が柔らかく少しふっくらしてきた.

まとめ)
最後まで口から食べながら老老在宅介護を希望し実践したいと考える人へのプライマリケア従事者が知っておくべきは微熱への薬物以外の対処法である誤嚥防止体位である完全側臥位と一般的なご飯にこだわらない栄養管理であると考える.

【10:39〜10:48】原 純一 先生 ー研究ー

所属:きらり健康生活協同組合 上松川診療所 歯科口腔外科
共同発表者:村山幸江  桜の聖母短期大学 生活科学科 食物栄養専攻

演題

訪問診療における重度嚥下障害者に対する完全側臥位法の有効性について

抄録

2010年8月〜2013年3月までに訪問診療依頼があった167件のうち、重度嚥下障害と診断を受け、非経口摂取であった60歳以上の在宅療養患者19名(藤島摂食・嚥下能力グレード1)に対して嚥下評価と食事姿勢の指導を行った。このうち初診時の嚥下内視鏡検査において、経口摂取が可能(藤島摂食・嚥下能力グレード5以上)と評価された者は19名中10名であった。食事姿勢に関しては座位2名、30度仰臥位1名、完全側臥位7名であった。従来の誤嚥予防指導では安全な経口摂取が困難であると評価される対象者に完全側臥位法を導入することは経口摂取獲得に有効であることが示唆された。

【10:48〜10:57】吉野 正人 先生 ー症例報告ー

所属:白河厚生総合病院
共同発表者:宮下淳、鈴木龍児(白河厚生総合病院)

演題

HHV-7の関与が疑われた壊死性リンパ節炎に伴う血球貪食症候群の一例

抄録

【症例】15歳、男性。

【主訴】発熱・咽頭痛。

【現病歴】X-7日より38℃台の発熱を、X-5日より咽頭痛を認め、抗菌薬の投与を受けるも改善に乏しくX日に当院紹介となった。診察上、両側顎下部、両側腋窩、両側鼠径部に圧痛を伴う弾性硬の可動性良好な10 mm大のリンパ節の腫脹を多数認めた。血液検査ではWBC 1400 /µL、PLT 12.8万/µLと血球減少を認め、LDHの上昇(1025 U/L)や可溶性IL-2受容体の上昇(2604 U/mL)、フェリチンの上昇(2014 ng/mL)及びNK細胞活性の低下(<1%)を認めた。CT検査では両側顎下部、両側腋窩、両側鼠径部のリンパ節腫脹及び脾腫を認め、PET検査では同部位に集積を認めた。鼠径リンパ節生検でリンパ節の壊死像を認め、骨髄穿刺・生検では血球貪食像を認めたことから、壊死性リンパ節炎に伴う血球貪食症候群と診断した。原因検索として施行したウイルス学的検査にてHuman Herpes Virus(HHV)-7の血清DNA-PCRが陽性であり、HHV-7感染の関与が疑われた。入院後、ロキソプロフェンによる対症療法を継続したところX+9日目より解熱が得られ、全身状態の改善が得られたことからX+12日目に退院となった。

【考察】壊死性リンパ節炎に血球貪食症候群を合併したものの良好な経過をたどった症例を経験した。壊死性リンパ節炎は発熱や頸部リンパ節腫脹をきたす疾患で、何らかの病原体に対するT細胞や組織球の免疫応答が原因と考えられている。ほとんどの症例では予後良好で、対症療法のみで自然軽快するが、まれに血球貪食症候群を合併するとの報告もある。一部の症例では重篤化することもあるが、壊死性リンパ節炎に合併する血球貪食症候群は比較的予後良好であると報告されている。原因ウイルスとして、EBウイルスやパルボウイルスB19に加え、HHV-6やHHV-8が報告されている一方でHHV-7の報告は少ない。本症例は、HHV-7の血清DNA-PCRが陽性であり、壊死性リンパ節炎の発症にHHV-7の関与が疑われた。壊死性リンパ節炎の原因ウイルスとしてHHV-7を考慮する必要があるかもしれない。

【10:57〜11:06】髙橋 琴乃 先生 ー症例報告ー

所属:市立大森病院/秋田大学医学部附属病院総合診療医センター
共同発表者:粕谷孝光(市立大森病院)
福岡岳美(市立大森病院)
小野剛(市立大森病院)
北村俊晴(秋田大学医学部附属病院総合診療医センター)
渡部健(秋田大学医学部附属病院総合診療医センター)
松本奈津美(男鹿みなと市民病院/秋田大学医学部附属病院総合診療医センター)
植木重治(秋田大学医学部附属病院総合診療医センター)

演題

ADA測定が診断に寄与した結核性腹膜炎の一例

抄録

【背景】
結核性腹膜炎は全結核患者の0.04~0.5%程度と言われており、肺外結核の中でも稀な疾患である。腹水抗酸菌塗抹検査や培養検査は陽性率が低く、半数の症例は肺病変を伴わないと言われるため、結核性腹膜炎の診断は難渋しやすい。本症例では肺病変がみられたほか、腹水ADAが高値であったことから結核性腹膜炎と診断できた。結核性腹膜炎の診断について文献的考察を加え報告する。

【臨床経過】
症例は89歳女性。X-7年に横行結腸癌および肺転移のため手術歴があり、現在は高血圧や過活動膀胱のため当院内科に通院中であった。X年Y-16日から続く嘔吐および食欲不振を主訴にY日に受診した。37℃台の発熱があり、CRPは12.71mg/dlと上昇していた。CTで腹水および腹膜肥厚、腸間膜脂肪織濃度上昇、浮腫状の腸管壁肥厚を認め、癌性腹膜炎などを疑い入院加療を開始した。また、左肺S4に帯状の浸潤影を認め、両側肺野には経気管支分布する小粒状影を認めた。Y+8病日にT-SPOT陽性が判明し、Y+11病日には喀痰抗酸菌塗抹検査でガフキー1号、結核菌PCR陽性が判明し肺結核の診断となった。Y+7病日に腹水穿刺を行っており、抗酸菌塗抹は陰性であったが腹水ADAが114.0IU/lと上昇しておりリンパ球優位であったため結核性腹膜炎と考えられ、肺の画像所見と合わせて粟粒結核と診断した。Y+13病日に結核病床をもつA病院へ転院した。

【結論】
腹水ADAの上昇がみられれば、細菌学的検査が陰性でも結核性腹膜炎の診断の一助となる。抗酸菌培養や腹水ADAを調べることは腹水の鑑別診断に有用である。

一般演題2 (座長:高橋 祥也先生 至誠堂総合病院内科)

【11:15〜11:24】川瀨 隆一 先生 ー活動報告ー

所属:至誠堂総合病院
共同発表者:小林奈由子・至誠堂総合病院栄養科
米沼正美・至誠堂総合病院検査科
渡辺祐太・至誠堂総合病院薬剤部
岡部裕愛・至誠堂総合病院リハビリテーション科

演題

当院におけるNST回診の質改善と普及への取り組み

抄録

【背景】
当院にNST(Nutrition Support Team)は立ち上がっていた.前任者の退職に伴い,2020年10月から専任の医師としてチームに関与することになった.回診しながら、栄養状態が改善するようアドバイスし支援してきたが,成果や実績がはっきりしなかった.介入数を確認してみると2019年は8名の依頼しかなく,うち軽快は半数と成果も乏しかった.この現状を省みてNSTの質を改善すべきと考え,介入を行った.

【内容】
FOCUS-PDCAをフレームワークとして使用.1周目は新たな患者層である整形疾患で手術を実施した患者へのアプローチを行った(Plan).アルブミン低値および体重が減少している術後患者の主治医にメールでNST依頼をした(Do).新しいアプローチの評価として,NSTスタッフへのアンケートを実施(Check).アンケート結果を元に栄養管理のフローチャートを作成した(Action).2周目はフローチャートを元に整形外科患者(術後および転院など)へのアプローチを行った(Plan).栄養評価法の1つであるCONUT値とBMIを活用したフローチャートで介入すべき患者へのNST依頼を実施した(Do).NSTスタッフおよび整形医師にアンケートを実施(Check)し,CONUT値の理解を求めるため学習資料を作成した(Action).

【結果および省察】
以前は漫然と介入していたが,フローチャートを活用して介入すべき患者にアプローチしたことで患者数の増加だけでなく,状態改善に繋げることが出来た[2019年度総数8人(死亡4,軽快3,評価不能1)→2021年度総数25人(死亡1,悪化1,軽快14,不変5,継続2,評価不能2)].NSTに関わるスタッフへのアンケートの返答・意見が有効的であり,PDCAサイクルを回すための改善策の立案は容易であった.既存のチームであったが,スタッフとのコミュニケーションをしっかり取り,NST活動に意欲的になるよう動けたと考える.課題としては,患者数の増加に伴う業務負担(事務処理,回診時間の延長など)が増えている.今後は医局医師や病院スタッフへの学習会を実施し,普及活動の幅を広げていきたい.

【11:24〜11:33】長江 智紀 先生 ー症例報告ー

所属:大原綜合病院 総合診療科
共同発表者:菅藤賢治(大原綜合病院 総合診療科)

演題

「すべての治療」を望む患者家族に対して患者中心の医療を実践することで治療方針を再検討することができた一例

抄録

【背景】
救急外来で患者を入院させる際に、胃癌終末期ながら急変時に「すべての治療」を望む家族と出会った。救急外来の場では上手く話し合いが出来なかったが、改めて話し合いの場を設けた際に患者中心の医療を実践したことで、良好な関係性でコードステータスの再検討を行うことができたため報告する。

【症例】
患者は胃癌肝転移の術後で、2年前から食欲不振で中心静脈栄養に依存している74歳の男性である。活動性も低いため介護施設でほぼ寝たきりで過ごしていた。元々痰絡みが多かったが、突然の嘔吐とSpO2低下で当院へ救急搬送された。小腸イレウスと誤嚥性肺炎、転移性肝腫瘍(胃癌疑い)の診断で入院加療となった。患者の意識状態は不良であったため、家族と今後の方針を話し合い、肝腫瘍についてはベストサポーティブケアの方針となったが、予期しない心肺停止に対する対応については人工呼吸器を含む「すべての治療」を行って欲しいと希望された。その場では家族の言うままにフルコード対応の方針となった。入院後に家族と電話連絡をして、患者本人に対する思いを受け止める対応を行い、並行して意識の改善した本人に病名の告知を行い、今後に望むことについて話し合った。改めて家族と直接面談を行い、家族の思いを受け止めた上で、本人の思いも共有し、治療目標は本人が安楽な状態で過ごせることと設定し、コードステータスはDNARで合意した。

【考察】
救急外来の場では結論を決めることを優先したことで、家族の中にある結論に対して医師が説得するという関係になってしまった。指導医からのフィードバックや文献から学んだことを通じて、家族にとって「すべての治療」が何を意味するか、そう考える理由を掘り下げて話し合いを行った。患者だけでなく家族のコンテクストも踏まえた上で共通の理解基盤の形成を行ったことで、良好な関係を保持したまま、コードステータスの再設定を行えた。「すべての治療」を望んでいても、必ずしもそれを鵜呑みにすることが最良の選択ではなく、患者中心の医療の方法を実践することで、患者と家族にとってより良い選択に近づけることを学んだ。

【11:33〜11:42】加藤 智華 先生 ー活動報告ー

所属:最上糖尿病連携研究会「チームいすいーっす!」
共同発表者:河田陽菜、芳賀真紀子、佐藤成美、村上万里子、小林拓哉、丸山進、山下修、星利佳、中沼仁、小内裕

演題

糖尿病学からみた全人的医療(最上糖尿病連携研究会「チームいすいーっす!」を通じて)

抄録

【背景】
山形県最上地方は、糖尿病療養支援に携わる医療従事者が少ない環境であった。糖尿病専門医でもある会長・小内裕が2017年6月に新庄市に帰還後、様々な糖尿病に関する事業を展開してきた。会長が勤務している医療法人小内医院を拠点として、2018年5月に友の会「ブルースノー最上」、7月に最上糖尿病連携研究会「チームいすいーっす!」を設立した。

【最上糖尿病連携研究会「チームいすいーっす!」】
「チームいすいーっす!」のメンバーは糖尿病専門医(会長)、糖尿病認定看護師(筆者)、山形県糖尿病療養指導士などで構成されている。現在のメンバーは10名以上である。活動内容は、友の会「ブルースノー最上」のサポート、定期的なウェブミーティング、各種勉強会の共催、市民公開講座の参加・講演、世界糖尿病デー(11月14日)のブルーライトアップ開催、糖尿病啓発動画の放映(新庄駅ゆめりあビジョン)、フットケアモデル(粘土)の作成、新庄駅2階ストリートギャラリーでの啓発ポスターの掲示、啓発ラジオプログラム「11月14日は、世界糖尿病デー」の放送、第9回日本糖尿病協会年次集会での発表、オンラインセミナーTHE小内塾を行った。

【今後の展望】
新型コロナウイルス感染拡大という危機的な状況ではあったが、それでもメンバー一丸となって様々な活動を行なった。今後は糖尿病カンバセーション・マップ、公開講座、ウォークラリー、「いすいーっす!たいそう2」の制作、料理教室やバインキングの開催などを企画したい。

【11:42〜11:51】小内 裕 先生 ー活動報告ー

所属:小内医院
共同発表者:今村誠(日本イーライリリー株式会社)
小倉雅仁(京都大学大学院医学研究科)
下野大(二田哲博クリニック)
矢部大介(岐阜大学大学院医学研究科)
大部正代(FOOD&HEALTH協会ククルテ)
東山弘子(関西電力病院医学研究所)

演題

患者さんと対話しよう(糖尿病カンバセーション・マップTMのご紹介)

抄録

「糖尿病カンバセーション・マップ」とは、糖尿病患者さんや家族、友人が数名のグループで話し合い、境遇をともにする患者さんの知識や体験から糖尿病について互いに学び合う糖尿病の学習教材です。参加したグループの興味や関心に合わせて、ファシリテーターの医療スタッフや医師とそれぞれのテーマについて1時間ほど話し合います。グループでの会話を通じて、糖尿病に関する知識を整理し、糖尿病に対する気持ちを見直すことで、様々な気づきを得ます。前向きな日常生活を送るよう目標を立てられるため、医療従事者ならびに患者さんとその家族の好評を得ております。糖尿病カンバセーション・マップは、患者さんの糖尿病に対するモチベーションを向上させるだけではなく、HbA1cを改善させることも各国から報告されており、実臨床では重要なツールと位置付けております。日本では10年前からトレーナーおよびファシリテーターの育成を行っております。2020年以降はオンラインでのファシリテータートレーニングも実施しており、延べ160人のオンラインによるカンバセーション・マップを体験してもらいました。今後も感染対策を行いながら対面式のトレーニングおよび患者さんへのマップ体験を行います。是非、糖尿病カンバセーション・マップを体験してみませんか?糖尿病カンバセーション・マップの詳細は以下のアドレスで確認できます。

https://www.nittokyo.or.jp/modules/doctor/index.php?content_id=11

【11:51〜12:00】渡部 健 先生 ー活動報告ー

所属:秋田大学医学部 男鹿なまはげ地域医療・総合診療連携講座,秋田大学医学部附属病院 総合診療医センター
共同発表者:北村 俊晴,松本 奈津美,髙橋 琴乃,引地 悠,佐々木 智子,平澤 暢史,入江 康仁,嵯峨 亜希子,植木 重治(秋田大学医学部附属病院 総合診療医センター)

演題

Advance care planningにおける介護支援専門員と医師の協働 ―セミナー講師として介護支援専門員と関わった経験から―

抄録

【背景】
秋田大学医学部附属病院総合診療医センターの目的の一つに「医療・介護・福祉間での多職種連携の活性化」がある.介護支援専門員(以下CM)を対象にAdvance care planning(以下ACP)の講演を行うこととなった.

【活動内容】
ACPについてCMの理解度やニーズを把握するため事前アンケート(N=22)を行ったところ, ACPの概要を説明できると答えたCMは3割弱,利用者のACPに関わった経験のあるCMは2割弱であり,ACPの基本的事項から総論を知りたいというニーズを把握した.アンケート結果をもとに講演内容を組み立て,60分の講演を実施した.参加者は59名で,コロナ禍のため研修会はZoom®でのオンライン開催となったことから,なるべく双方向性の講義にできるよう投票機能で理解度を確認したり,積極的にチャットでの質問入力を促したりすることを工夫した.事後アンケート(N=32)では9割弱の回答者がACPの概要を説明できると回答され,実施直後ではあるが講演の効果はあったと考えられた.今後の研修希望として実際の事例をもとにしたACPの学びを得たいという声が多く,今後の研修会運営の参考となった.また,多職種連携の面でCMが医師との関わりで困っていることを問うた設問では,「在宅での現状報告を連絡する機会がない」,「患者の日常生活を把握していないことが多く共通の課題を掴みづらい」,「ざっくばらんにACPについて語りたいがそのような会に参加する医師は毎回固定である」などといった回答があった.

【今後の展望】
CMは在宅医療における介護面の重要な役割を担う存在であり,当センターとして今後も関わりを続けていきたい.また,多職種連携を活性化させていく当センターの目的から,他の職種から医師がどう見えているか,ACPを進めていく上で医師は他の職種とどのように関わっていくのがよいか,今後医師へ声掛けをしていく必要があることがわかった.多職種連携の潤滑油となるべき当センターにおける活動を引き続き推進していく.

【12:00〜12:09】永井 拓 先生 ー活動報告ー

所属:1)公立大学法人 福島県立医科大学 地域・家庭医療学講座
2)社団医療法人 養生会 かしま病院
共同発表者:
渡邉 聡子1)、2)

藤原 学1)、2)

中山 文枝2)

中山 大2)

石井 敦1)2)

演題

地域とつながるプロジェクトに家庭医療専攻医が参画することの意義

抄録

【背景】
近年、ワールドカフェなどカフェ型の対話的アプローチが注目されている。コロナウイルスが流行してからは、そのような場を提供することは難しくなったが、コロナ禍以前は各地域で様々な形式での場が設けられていた。報告者は以前から、医療や健康をめぐる話題について関わる人々と対話し学び合うカフェ型ヘルスコミュニケーションに大変興味があった。かしま病院(福島県いわき市鹿島町)は、2022年度から地域コミュニティデザイン型プロジェクト「いとちプロジェクト」を発足し、医療人、病院事務職員、地域活動家と地域住民が地域医療について共に考える企画運営を開始した。報告者は専攻医として本プロジェクトに参画したため、その活動内容について報告する。

【内容】
2022年6月第1回医療人と地域住民の対話の場「いとちかいぎ」が開催され、参加者は当院の医療従事者・事務職、地域医療実習に来ている医学生、地域住民ら、総勢25名で報告者は家庭医として会議に参加した。医療従事者、地域住民の代表が、それぞれの立場で「地域における医療とは何か?」「一住民が病院受診にまつわる体験から考える医療とは?」などのプレゼンテーションを行い、ワールドカフェ形式で議論を交わし、個人のアクションプランの検討もおこなった。

【考察】
小グループで自由で抑圧のない平等な関係性での対話は、お互いの考えや価値観に対する理解や自己省察が容易となる可能性が示唆されている。このような話し合いの場を今後も定期的に開催していくとともに、今回の会議を通して、本活動は教育面でも活用できる可能性も見出された。まだ現場で働いていない医学生はもちろん、専攻医にとってもこのような地域活動に触れることで得られるものはあると感じた。地域とのつながりの場を提供することで、病院内では解決できなかった問題が解決されることがあることを知り、今後の診療で困った際に選択肢の一つとして活用できると考える。当日は本活動の詳細とともに、参画する意義について考察を加える。